羞中恥療室 前編
水野総合病院は、院長の水野忠彦が経営する総合病院である。その外科診療室で、看護婦の藤野紫織が患者の腕の傷を消毒している。たちの悪い患者は、紫織の尻を触り、いやらしいことを口走っていた。ついたての反対側で、その様子を聞いていた外科医の影元仁は、患者が帰ると、紫織に「触られてうれしかったんだろうが、この好きもんが」と、悪態をつき紫織を後から…。影元はある日、院長から杉浦誠の紹介を受ける。杉浦誠は30歳そこそこの内科医で、T大出の秀才であり、超二枚目。早速、看護婦達は舞い上がる。院長の後釜を狙う影元は面白くない。「こいつはやばいぞ、あの事件のことがある限り、院長の後釜は俺に決まっているが…。できれば院長の長女で外科医の潮音、次女で看護婦の七海、三女で准看護婦の珊瑚のいずれかを早く自分のモノにしてしまう必要がある」と感じるのであった。一方、挨拶を終え、内科診療室に戻った杉浦は、院長が自分の追い続けた復讐の相手であることを知り愕然としていた。顔はほとんど忘れかけていたが、彼の手にあった傷こそが、忘れもしない杉浦の姉を医療ミスで死なせ、知らん振りを決め込んだ悪徳医師に違いなかった。杉浦は、病院乗っ取りの復讐を誓うのであった…。